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【週次書評】先週読んだ14冊のレビュー (2018/2/25~3/3)

先週読んだ14冊の本を,簡単にレビューしていきます。なお,記載した点数については,あくまで個人的な評価であり,あまり参考になさらないことをお勧めします。

 

【1冊目】教養としてのプログラミング講座 [著] 清水亮 

実践としてのプログラミング講座 (中公新書ラクレ)
 

 【評価:70点】プログラミングの初歩中の初歩といった内容で,本書だけでは,何かに役立てうるのに十分な知識は得られない。けれども,非常に読みやすいので,より詳しく書かれた入門書に取り掛かる前の前菜としては最適である。薄い本で,2時間足らずで読めるので,ちょっとプログラミングについて知りたい,という程度の人ならば,読んでおいて損は無いだろう。

 

 

【2冊目】バッタを倒しにアフリカへ [著] 前野ウルド浩太郎

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

 

 【評価:90点】ベストセラー作品だが,確かに文句なしに面白かった。同じく途上国を扱った本でも、『ルワンダ中央銀行総裁日記』ほど真面目ではないが、『何でも見てやろう』ほど無目的でもない。適度な使命感とファンキーさを併せ持っている。過酷なアフリカの地でも、研究に熱中し、人脈を広げ、現地のグルメも堪能する。博士の厳しさや経済的な苦労にも関わらず、悲壮感は一切ない。筆者の、人生に対する純真さ、ポジティブさに溢れ、非常に勇気付けられる一冊だった。

 

 

【3冊目】数学ガール/ゲーデル不完全性定理 [著] 結城浩

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

 

 【評価:70点】本書の目玉は,主題のゲーデル不完全性定理よりも,むしろ中盤で触れられる「ε-δ論法」の解説だろう。ε-δ論法は,大学の微積分の授業でまず最初に教えられる。その難解さ,というか大学の数学教授の下手な説明に,理系学生の多くは苦しめられる。本書の「ε-δ論法」の解説は非常に分かりやすい。大学入学時に読んでいれば良かったと悔やまれる。一方,メインテーマのゲーデル不完全性定理については,その大まかな意味はなんとなく理解できたのだが,厳密な数学的証明については全くついていけず,読み流してしまった。後半の不完全性定理の証明を理解できるレベルの人は,このような入門書など手に取らない気がする。

 

 

【4冊目】量子もつれとは何か [著] 古澤明

量子もつれとは何か―「不確定性原理」と複数の量子を扱う量子力学 (ブルーバックス)

量子もつれとは何か―「不確定性原理」と複数の量子を扱う量子力学 (ブルーバックス)

 

 【評価:70点】昨今話題の量子コンピュータの原理を理解するためには,「量子もつれ」について知る必要がある。そこで本書を手に取った。しかし,難解だった。分かりやすく噛み砕こうとする筆者の努力はひしひしと伝わる。だが,如何せん量子力学自体が難解なので,分かりやすく説明しようにも限界がある。結局のところ,「新書で手軽に量子もつれを理解するのは不可能である」ということだけは分かった。

 

 

【5冊目】富嶽百景走れメロス 他八篇 [著] 太宰治

富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫)

富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫)

 

 【評価:75点】古典的名作を点数付けするのは気が引けるが,「実戦的読書」という観点からすれば,太宰の著作は何の役にも立たない。というか,むしろ害になりうる。その毒にもなりうること自体が,太宰作品の価値・魅力なのだろうが。

 

 

【6冊目】もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら [著] 神田桂一,菊池良

もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら

もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら

 

 【評価:60点】様々な文豪やミュージシャンの文体を模写し,カップ焼きそばの作り方を書いている。ベストセラーだが,総じてみれば,それほど面白いとは思わなかった。ツイッターとかで,単発で見る分には面白いと思うが,まとめて一冊の本にするとなると,どうしても飽きる。ただし,町田康ウィリアム・ギブソンの「カップ焼きそばの作り方」については,思わず笑ってしまった。吉本隆明といった評論家による,衒学的な文体の空疎さを暗に浮き彫りにしているのも面白い。あと,読むとお腹が減る。

 

 

【7冊目】グーグル・アマゾン化する社会 [著] 森健

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

 

 【75点】現代社会のIT化により,「ロングテール」や「多様性」が注目されるようになったといわれる。一方で,グーグルやアマゾンといったトップへと,利益が一極集中する現象が観られるように,多様化が逆説的に「力の一極集中」や「価値観の単一化」も引き起こす点にも目を向けるべきであると,筆者は指摘する。多様化と単一化,グローバル化ナショナリズムといった,相反する性質の間で,人や社会の価値観は絶えず揺れ動くものなのかもしれない。

 

 

【8冊目】目の見えない人は世界をどう見ているのか [著] 伊藤亜紗

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)
 

 【評価:80点】これは良書。障害を抱えた人との接し方について、常識とは異なった観点から、新たなヒントを提供している。筆者は、目の見えない人の生き方や世界の捉え方を、好奇の目を持って「面白がる」ことを推奨する。それは、異なった国籍や文化を持った人との差異を面白がるのと同様の、蔑みや憐憫を挟まない、自然な交流の仕方だ。実際、目の見えない人が「見る」世界は、健常者からしたらパラレルワールドの様で、非常に面白い。人間の脳や体が持つポテンシャルに感嘆させられた。タブーを打破する鍵となるのは、ユーモアの力であると気付かされる一冊であった。

 

 

【9冊目】宇宙になぜ我々が存在するのか [著] 村山斉

宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)

宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)

 

【評価:85点】良書。素粒子物理学の研究が、なぜ宇宙の解明に繋がるのかを、文系の人や高校生にも伝わるレベルで優しく解説している。クォークヒッグス粒子といった、聞いた事はあるけど何かは分からないモノが、そもそも何なのか、そして何故重要なのかが、良く分かる。ビジネス的あるいは政治的な見方をすれば、莫大な資金と人材を費やして素粒子研究は行われる以上、こういった書籍の形で、一般の人にもその意義を宣伝することが重要なのだろう。サイエンスコミュニケーションのお手本の様な一冊である。

 

 

【10冊目】7割は課長にさえなれません [著] 城繁幸

7割は課長にさえなれません (PHP新書)

7割は課長にさえなれません (PHP新書)

 

 【評価:50点】個人的にはイマイチだと思った。既存の政治・経済制度に対して、ひたすら不満を述べるような内容だ。一面的かつ悲観的で、読んだところで特に有益なヒントは得られなかった。筆者は、大企業や政界の既得権益者のみが旨い汁を吸っていると批判する。だが、本書を読むと、結局のところ「大企業の正社員」になるのが一番という,筆者が批判する結論に、逆説的だが達する。現在の日本型雇用も、筆者が推奨する欧米型の流動的な雇用形態も、学歴や能力、経済力等を基準とした「弱肉強食の世界」である点において、根本的な違いは無いのではないかと、私は思う。

 

 

【11冊目】図解 マナー以前の社会人常識 [著] 岩下宣子

図解 マナー以前の社会人常識 (講談社+α文庫)

図解 マナー以前の社会人常識 (講談社+α文庫)

 

 【評価:75点】現役の社会人にとっては当たり前のことばかりだろうが,新入社員や就活生など,マナーに関する研修を受けたことが無い人にとっては,読んで損は無い一冊かと思う。キングスレイ・ウォードの『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』には、ビジネスマナーを身に付ければ、強力な武器になると書かれている。マナーを、人の行動を縛る「規制」と捉えるのでは無く、武道や舞踊の「型」の様な、効率的かつ洗練されたメソッドと捉えれば、堅苦しいマナーの稽古もちょっとは楽しめるだろう。

 

 

【12冊目】投資家が「お金」よりも大切にしていること [著] 藤野英人

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

 

 

 【評価:85点】大学の書店でやたらオススメされていた。「意識高い系」御用達の自己啓発本だろうと思い、期待せずに読み進めた。だが,予想外に良い本であった。特に、大学生・就活生向けの一冊だろう。「他人や社会の役に立ちたい」と多くの人は口にするが、そもそもお金を使い、経済を回すこと自体に社会的価値がある,と筆者は言う。そう考えると、虚業など無く、ただ生き、金を使うだけで、人の存在価値はある。消費や投資といったお金の使い方に加え、お金・経済自体の意味について改めて考えさせられた。

 

 

【13冊目】夢の叶え方を知っていますか? [著] 森博嗣

 【評価:60点】『すべてがFになる』等の著作で有名な,小説家・森博嗣による自己啓発本。3年ほど前に森博嗣にハマった時期があって、小説やらエッセイやら、ことごとく読み尽くした。その結果、私の思考回路や人生設計は、既にかなり森博嗣ナイズされている。なので、もはや「森博嗣先生が提唱する生き方」と「私自身が追求する生き方」がかなり近接している。本書を読むのも、その重なった線をトレースする様な作業に近かった。「まあ、当然そう考えますよね」という様な、読み心地であった。本書の核心を一言で言えば、「本当に夢を叶えたいなら、まずその夢を具体化し、その実現に向けて"今すぐ"実際の行動を起こせ」ということである。このブログを開設するきっかけとなった一冊とは言える。

 

 

【14冊目】死ぬほど読書 [著] 丹羽宇一郎

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

 

 【評価:75点】筆者は,伊藤忠の元会長である。「読書家は出世しない」という俗説の反例となる方だ。こういった方の存在は,読書好きからすると心強い。社会に出た後も、読書し続けて良いのだ、否、読書し続けなければならないのだ、と勇気付けられる。特に,「仕事」と「人」と「読書」の三つを通じて人は成長する、という言葉が心に残った。筆者の読書論に関しては、佐藤優氏や立花隆氏、齋藤孝氏といった方々のメソッドと被る部分が多かった。

 

以上です。最後までお読み頂き,ありがとうございました。